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マツバガイとイボニシの戦いは如何に?
港のコンクリート桟橋やテトラポット、そして潮間帯の岩の上やクレパスの間に目にする笠貝の一種で『マツバガイ』を知っていますか~?えっ知らない?
岩礁やコンクリートに固着したこの『マツバガイ』は、大きな吸盤状の足でしっかり吸いついているので、はがそうと思っても、そう簡単にははがれません! 『マツバガイ』はツタノハガイ科に属し日本産の笠貝の中では、割合大きいほうで、笠のてんぺんから貝殻の縁にかけて放射状に赤褐色の帯が伸びているものが多いですが、編み目状の模様をもつものもあります。かなり、岩などにしっかり吸着しているので動かないのでは?と思っている方もいると思いますが、 実は活発に動くのです! だいたい住む場所は決まってますが、食事のときは動きまわるのです。動きまわる距離は、1日に約1mにもおよぶといわれていますが、動いている姿は松とうちゃんも見たことありません。 もともと鰓(えら)呼吸する貝ですので、海水をかぶっているとき動きやすいと思うのですが、夜間ですと干上がったときの方が、日中水につかっているときより活発に動くようです。 ≪そんな貝、気にして見たことないよ!!≫ そうです!海辺に住む方や磯遊びで度々でかける方でも、この『マツバガイ』は、あまり興味をもたれる貝ではないと思います。 なぜ?松とうちゃんはそんな貝を紹介するかというと、 それは、とっても美味し~いからです!(*^_^*) ナイフなどで岩からはがし、そのままいただいてもグッドです!極めつけは、ちょっと手を加えて更に美味しくいただく次の方法です。 水洗いした『マツバガイ』をそのまま、みじん切りしたニンニクと赤唐辛子(生)入りのお醤油に約1時間漬け込むだけで即席中国(台湾)海鮮料理になるのです! 紹興酒やビールのおつまみには最高です!(*^_^*) 我々ダイバーなど漁業を営まない一般人がサザエやアワビを捕ったらルール違反ですが、『マツバガイ』捕りでお叱りをいただくことはありません。フジツボ同様、桟橋などをきれいにしてくれたと喜ばれるでしょう!(ホントかな~?) ちょっと話しが脱線して、読者の皆さんよりお叱りを受けそうなので話をお生物講座に戻します。(^_^;) さて、この『マツバガイ』の天敵は松とうちゃん以外にもいるのです。 『イボニシ』というアクキガイ科の巻き貝でマツバガイやフジツボを好んで食べます。(やはり美味しい?) ※アクキガイは悪鬼貝と呼ばれ外部寄生性のものがいます。 ダイバーの方なら、潮流れがある浅瀬の岩の下に気持ちの悪いほど群がっている様子を見たことがあると思います。たくさん集まって岩に卵のうを産みつけているのです。(6~8月の季節です。) この『イボニシ』は特殊な腺から酸を出して『マツバガイ』の貝殻を軟化させ歯舌で約1mmくらいの穴をあけ吻をさし込み食べるのです。 しかし、『マツバガイ』も黙って食べられてばかりではありません。『イボニシ』が貝殻に取りつこうとすると、膜を貝殻の外まで突きだして広げ取りつけないように防御します。また、貝殻を左右にねじるように回転させ振りおとします。これらの反応は『マツバガイ』独特の防御方法です。 『マツバガイ』を好み、彼らの独特な防御方法を攻略すべく攻撃戦略を練っている『イボニシ』ですが、最近、異変が起きていると、噂を聞きました。 多くのメスの体がオス化(生殖器の変化)し、不妊になるという異常事態です。これは、船底塗料に使われていたスズ化合物などによる海洋汚染の影響ではないかと言われています。 『イボニシ』も『マツバガイ』との戦いどころではなく、人間社会というとてつもなく大きな怪物と対戦しなくてはならないとは気の毒ですね!(人間の端くれとして申しわけない…) -お生物講座091- |