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サザエさん、あなたのご出身は?
今回は、日本人の最も好む貝のひとつ『サザエ』のお話です。サザエの壺焼きは有名で、これからの季節、海辺の屋台でよく見かけますよね。初夏が旬です!
『サザエ』はこぶしのような形をした巻貝ですが北海道以南から日本全国の岩礁にすんでおり、特に暖流の影響を受けるところに多いようです。 殻表には棘(とげ)が立ち上がっているものが多く、波静かで海藻類の少ない環境ではまったく棘のない『つのなし』のサザエもおります。波の荒いところのサザエは流されないようにふんばるためか、棘(角)が長いと言われています。 昼間は磯の岩のすき間などにおりほとんど動きませんが、夜には活発に動き回り好物のテングサやホンダワラ、カジメなどを食べています。 『サザエ』の口の中、見たことあります?小さな歯が何列もならんだ歯舌(しぜつ)と呼ばれるそしゃく器があり、これで固い海藻もおろし金ですりおろしたように食べるのです。 不思議なのは、その歯舌はいつも新鮮で、次々に新しい歯舌がおくりだされてくるため、いつでも新しい鋭い歯で餌を食べることができるのです。 人間で言うと『万年乳歯?』かな? 小型のうちは潮間帯のクレパスなどで見られますが、大型のものになると水深20mを超すところにすんでいるものもあります。よく宮古島の北『八重干し』で夏の干潮時、サザエの潮干狩りに行ったという話を聞きますね。 深いところの『サザエ』は潜水や長い竹竿での見突き、刺し網などで漁獲されます。伊豆大島の元町港では、40~50年前から『椿あんこ娘?』だったおばさんが、よく屋台で売っていたのを思い出します。 皆さんもスーパーやお魚屋さんで買われることもあると思いますが、殻が白っぽくなっているのは、人工的に偏食させたものですのでご注意を! よくサザエの壺焼きなどで先っぽの黒や緑の肝を『にがいから嫌だ~』と食べない方がいますが、にがいのは、蓋(ふた)近くのふちにあるひだの部分だけです。このスカートのようなひだをとるとにがくなくなります。 ★松とうちゃんの『エスカルゴ風サザエ炒め』をご紹介しましょう! まず、新鮮なサザエ(粘液で汚れていたら不新鮮)を白ワインで蒸 します。(もったいないですが、ここがポイント。) 蒸し上がったら貝殻から身をとりだし、幾つかに切ります。 フライパンにバターとニンニクのみじん切りを入れ軽く炒めサザエ の身と刻みネギをいれて炒め、白ワインを少々加えます。 あとは塩・胡椒・赤唐辛子(一味でも可)・お醤油などで味を整え て終わり。そして召し上がるだけです。 美味しいですよ~ 話がお生物講座からはずれてきましたので、元に戻しましょう!えっへん!学術的?なお話を… 『サザエ』など魚介類を捕るべからず! の看板を海辺で見ることがあると思いますが、これは漁業関係者の権利を守るためのルールで具体的には、繁殖・増殖のため漁業関係者が高価な稚貝をまいて漁場を保護しているからでもあります。 この稚貝も日本で不足する事態がおこることもあり、朝鮮サザエを輸入して補給することもあるようです。 1年で1cmくらいしか大きくならない『サザエ』ですが繁殖過程で、日本産のものか朝鮮産のものかある変化が起こります。 それは何か?皆さん、お分かりですか? もったいぶらずお教えしましょう!実は『サザエ』の蓋(石灰質)は、 朝鮮生まれ→緑色っぽい 日本生まれ→茶色っぽい 緑色と茶色の違いがあります。完全に緑色が強いものは朝鮮生まれで、日本産と混じると緑色が薄くなっていきます。日本海側のものは、自然と混ざるのかほとんどの『サザエ』の蓋が少し緑色がかっているのではないでしょうか?日本海の方、わかったら教えて下さい。 スーパーに行って『サザエ』を見つけたら、是非一度蓋を見て下さい。『あんたはどこから来たの?』と尋ねてみるのもいいかも知れません! (*^_^*) 食べて美味しい『サザエ』も、そのルーツを探るのも楽しいかもしれませんね! 螺旋(らせん)状に巻いている『サザエ』は、いろいろな名称に使われています。 【さざえどう】 内側の階段が螺旋はしごに似た構造になっている堂。現存する ものは福島県会津若松市の飯盛山のさざえ堂 【さざえばしご】 同じくサザエの殻のように螺旋状になった階段。 【さざえわり】 これは何か分からないでしょう!なんと、『ネコザメ』の異名です。 ダイビングではただ眺めているだけの『サザエ』ですが、その生態やルーツを探ると結構楽しいかも知れませんね。 ≪う~ん!でも~あんまり観察していると食べたくなる…≫ そんなときはダイビング終えたら地元のスーパーで買って帰りましょ! -お生物講座095- |