« 流離いの旅人イボダイとメダイ? | トップ | とても生物とは思えない生き物たち? »
ムール貝にも国際化の波が?
東京の築地市場など大都市の市場では、ほとんど見ることのない『イガイ』は、地方では『せとかい』とか、『いのかい』と呼ばれ食用とされています。『イガイ』というとどんな貝かわかりにくいと思いますが、ムール貝の仲間といえば想像つきますよね。
『イガイ』は北海道南部から九州まで分布し、波の荒いところの岩礁に足糸と呼ばれるもので群がって付着しています。 殻長は13cm、殻高6cm、殻幅4cmくらいになりますが、貝の殻長・殻高・殻幅は、どれがどこかわかりますか? この生物講座で3回目のご紹介になりますが、 2枚貝の場合、2枚の殻の付け根とも言うべき蝶番(ちょうつがい)歯の連結部分の靱帯(じんたい)を下にして上下方向を高さ、2枚の殻の厚さを幅と表現します。つまり、片方の殻を底にして反対側の殻を直角に大きく開いた状態にして、その時の高さを殻高と呼ぶのです。殻長は、蝶番(ちょうつがい)とほぼ平行方向の長さをいいます。 『イガイ』の表面は漆黒色、内側は真珠光沢が強く、殻頂は尖った三角形状で多少わしばな状に曲がっています。 産卵期は12~5月ごろで、1年で殻長が5cmくらいに成長し2~3年で殻長が13cmまでになります。 食用で特にお馴染みなのがムール貝と呼ばれている『ムラサキイガイ』ですが、イガイ目イガイ科に属する貝です。 ムール貝は、もともとヨーロッパ原産で今では、三陸以南の日本各地の港湾などに住み、防波堤やブイ、養殖施設、火力発電所などの取水管に群がって付着しています。 このムール貝の本家は、昭和初期に神戸港で発見されて以来、あっという間に日本各地に広がり分布するようになったそうです。遠い異国の地からやってきた移民者なのです。 北海道を中心とした寒海域の『キタノムラサキイガイ』と交雑種もあり、また、東南アジアからやってきた『ミドリイガイ』など今では、外地からの移入種が多く生息するようになり、貝の世界にも【国際化】が迫っているいるようです。 ムール貝は、殻長は9cm、殻高5cm、殻幅3cmくらいで表面は、光沢の強い藍黒色で内側は『イガイ』と異なり、光沢はなく空色です。また腹縁はややふくらんでいます。 松とうちゃんのムール貝のイメージとして残っているのが、東京に上京してきたころ、フランス料理店でいただいた高級なムール貝のホワイトソースかけを食べてみて、 ≪どこにもいるカラス貝(淡水産のイガイの異名)じゃん!≫ ≪こんなのも高級料理の材料になるんだ~≫ ≪東京というところはすごいな~何でも高級だ!≫ みそ汁のだしくらいにしか考えていなかったカラス貝がね~これがこんな高級なフランス料理に!と感心したものでした。 美味しかったな~あのムール貝… 実は、このカラス貝とムール貝の違いがわからなかったのです。 そもそも牡蠣の養殖施設に付着し牡蠣の天敵だったムール貝を養殖し、高級食材とした漁師さんの知恵には脱帽です。 ムール貝は、フランス料理などのように手をかけて調理するのも良いですが、塩ゆでしただけのムール貝をそのままいただくだけで、美味しい酒のつまみになります。本当に美味です! スーパーで見かけ急に食べたくなり思わず手に取っていました。そこで、このテーマにしてしまいました。 さぁ、これからお鍋でお湯を湧かします。 一緒にムール貝食べましょっ! -お生物講座098- |