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メスに寄生するアンコウのオス
アンコウ料理と言えば、茨城が有名です。
2月中旬、茨城県水戸市に仲間とアンコウ鍋をいただきに行って来ました。
アンコウをいただく前に、アンコウの仲間で奇妙な生態をもつチョウチンアンコウのお話です。
アンコウ目は、一般的に丸みをおびた大きな頭部で、背ビレが変化した釣り竿のような擬餌(ぎじ)状体を持ち、それで小魚をおびき寄せ、丸呑みする特異な生態であると以前にもお話したことがありますが、更に不思議な生態をもつチョウチンアンコウたちです。
日本産のチョウチンアンコウは、ほとんど沖合いから外洋域の数百~数千mの深場に生息しています。チョウチンアンコウ類は、一般に体形が丸く浮遊生活に適した形で、浮遊したまま餌(えさ)を待つ『待ち伏せ型』の摂餌方法です。
メスはオスより大きく頭部背面の擬餌状体は特に発達していて、一部を除き発光部をそなえています。大きなお魚を丸呑みするため、大きな口としっかりとした歯を持っています。更に食道と胃は、拡張性に富み、呑み込んだあとは、異様にお腹が膨らみヘビが獲物を丸呑みしたときのようです。
メスは捕食・摂餌に関しては貪欲といった感じです!
特に不思議なのがチョウチンアンコウ亜目の中の、ヒレナガチョウチンアンコウ科、オニアンコウ科、ミツクリエナガチョウチンアンコウ科などのオスの寄生です。
メスよりかなり小さいオスが、メスの体表に食いつくように寄生するのです。オスがメスの体に寄生するのは脊椎動物では他に例をみないそうです。なんか恐いというか異様ですね!
成魚のメスが120cmにも達し、『ビワアンコウ』のオスは、8~16cmの小さなもので、メスの体表(皮ふ)からの突起物に両顎が食いつくように癒合(ゆごう)し寄生します。
メスが浮遊しているときも、餌を捕っているときも、食事しているときも、そして排泄しているときも、いつでもオスがくっついているのです!
寄生したオスは、心臓や鰓は退化していないので自分で呼吸はできますが、メスの体表と顎(あご)が癒合していますので、歯と消化管は退化して食事はできないのです。
一説によるとメスとオスの癒合部分でメスの血管とつながってオスが栄養をもらうとありますが、はっきりしません。寄生しないグループのオスが摂餌せず幼期にたくわえた栄養でメスの産卵時期まで生きつづけられることが知られていますからひょっとしたら寄生したオスもメスから栄養をもらっていないかもしれません。どちらにしても凄いです。
メスの体にオスがず~っと着いていたら、うっとうしいと思うのですが、なぜ、このようにオスがメスに寄生するのでしょう?不思議です。その理由は、産卵時期まで確実にオス・メスが一緒にいるためと言われています。つまり、子孫繁栄のため『許嫁(いいなずけ)』のそばについているということでしょうか!
「オスは小さくて食べるところがないんです。これはメスです。」とアンコウ料理の女将が説明しながら、アンコウ鍋をよそってくれました。
もちろん、旨かった!