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アンコウは待ちの釣り師?
春も近づいてきました。が…まだ寒い季節。あんこう鍋なんていいですね!
『アンコウ(鮟鱇)』の身と皮、そして内臓をいっしょに鍋に入れ、焼き豆腐、ねぎ、うどなどに割醤油(わりしたじ)を加えて煮た鍋料理ですね。ゼラチン質でコラーゲンも豊富のような気がして健康にも良さそうです。冬が美味ですね! いきなり、食べ物の話になり失礼しました!(*^_^*) 頭でっかちで頭近くの背に竿のような擬似(ぎじ)状体をもつ『アンコウ目』は、世界に約315種いるといわれていますが、更に『アンコウ亜目』、『イザリウオ亜目』、『チョウチンアンコウ亜目』の3グループからなり今回は『アンコウ』をとりあげてみたいと思います。 『アンコウ』は北海道以南の日本各地に分布し、体長は20~120cmくらいで、種により異なりますが、水深25~500mの深場の海底(砂泥底)に生息しています。砂中になかば埋もれている状態で、餌(えさ)を待ち伏せしていることが多いようです。 鍋用に調理している切り身がスーパーやデパートに並んでいることが多く全身をながめることができる機会は少ないと思います。ダイバーも冬から春にかけて産卵のため浅場にやってくる時しか見るチャンスが少なく、『アンコウ』の全身を見たことのない方も多いのではないでしょうか? 体は頭部中心に縦扁平し、円盤状の大きな頭が体のほとんどを占めています。下あごが上あごより出ている『いかりや型』で、口は左右に大きくめいっぱい開けるとそうとう大きなお魚でも呑み込めそうです。 上下のあごには、喉の方向にだけ倒れる(内側だけに倒れる可倒歯)犬歯があり、お魚を簡単に呑み込める不思議な構造です。全体はちょっとグロテスクな感じです。 不思議といえばお魚の捕まえ方です。頭部の近くの背びれが発達した擬似(ぎじ)状体でまるで竿の先に餌(えさ)をつけて動かすことによって、お魚をおびき寄せます。『アンコウ』自体は、砂泥底に似た色合いなので、うっかり近づいたお魚は、飛びかかった『アンコウ』の大きな口の中に水と一緒に…!完全に待ち伏せ型の摂餌(せつじ)行動です。 『アンコウ』は動作がにぶいですが、きわめて貪食です。その捕食の仕方などから、良くも悪くもいろいろな例えになっています。 お相撲で、太って腹の出ている力士を『あんこがた』と言いますね。 『あんこうの餌待(えまち)』というのは、口をあいて、ぼんやりしているさまのたとえです。 『あんこうあみ(網)』は方錐形の大きな袋網。潮流の速い漁場で、潮流に向かって網の口を開き魚類を捕らえるものですが、アンコウを捕まえるものではありません。 『あんこう武者』は口では大きなことを言うが、実際は臆病な武士をののしっていう言葉で、あんごうざむらいともいいますね。 ぼんやりと仕事を待っている日雇労務者、立ちんぼうを『あんこう』と言います。 あら、日本の例えは悪い例が多そうですね!『アンコウ』が可哀想!でも、高級魚で美味です! 『アンコウ』の英名は、goosefish →ガチョウフィッシュ。そして英和辞典には、an angler →策を用いてうまく手に入れる人(釣り師)a fishing frog→魚釣りカエルとあります。お国が違うと見方も違うようです。 『アンコウ』よりやや浅場にいる『キアンコウ』は鍋料理に多く用いられますが高額で取引されます。和歌山や沖縄に多い『ミノアンコウ』は幼魚の時、体全体に長い皮弁と言われるものが多く、簑(みの)を着ているように見えることから、その名がつきました。 その他、高知などに多いの体長20~30cmの『ヒメアンコウ』がいます。『アンコウ』や『キアンコウ』の代用にされるのが、『ミノアンコウ』のようですので、今度スーパーなどで見かけたら価格で判断してみて下さい。ダイバーの方は海中で見かけたらお魚図鑑で確認しましょう! 『アンコウ』は、自分の特性を良く理解して今の待ち伏せ捕食方法をとっていると思いますが、松とうちゃんは、待ちの人生より積極的に前に出る人生を選択したいと思っています。でも『アンコウ』大好きです!皆さんはいかがですか? -お生物講座028- |