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タチウオは立ち魚、それとも太刀魚?
焼き魚の定番と言えば『サンマ』や『タチウオ』です。『タチウオ』はそれぞれ生息海によって産卵時期が異なりますが産卵時期の『タチウオ』は、塩焼きで食べるととても美味しいですね!
『タチウオ』は、東シナ海では6月、紀伊の海では4~6月、熊野灘では5月と11月にピーク、駿河湾では9月がピークというように、それぞれ産卵時期が違いますが越冬時期に入る手前の初夏から11月くらいまでが漁の最盛期です。 塩焼きやバターで焼いた『タチウオ』はたまりません!大好きです! ダイビングの帰り東伊豆伊東の魚屋さん『ふじいち』で焼き魚を頼む時は必ず『タチウオ』を注文します。(ごっくん!あ~食べたい。) 『タチウオ』は北海道以南の日本各地の沿岸で生息しますがダイバーの方でも、海中で見かけた経験の持ち主は少ないと思います。産卵の時期でも水深50~70mのところを遊泳する深海性の魚ですので、めったに我々ダイバーが見かけることはありません。 西伊豆の雲見という海でナイトダイビング中、珍しく浅場を泳ぐ『タチウオ』を見かけました。 太刀魚と言う名前のとおり、からだは側扁して細長く、太刀状の形をしています。頭は、背びれから斜めにカットしたような三角の形で、背びれの基底は長く頭の後方から尾端までつづき、尾びれと腹びれはありません。尾が細長く伸びているのですが尾びれが無いのは不思議な形です。 焼き魚で登場の時はほとんど四角い切り身状態ですから、全身の姿をご覧になったことがない方も多いと思います。でも、切り身の『タチウオ』も体の表面がギラギラと銀白色をしているのが分かりますよね。 この銀白色は、粉状物質グアニンでプリン誘導体の一つです。『タチウオ』から取れるグアニンは模造真珠の光沢をつけるのに用いられていますが、知っていましたか?偽真珠を見たら、『タチウオ』を連想して下さいね! 『タチウオ』は基本的には魚食性ですが、成長の過程(仔稚魚)では動物性プランクトンを食べ、待ち伏せ型の摂餌(せつじ)行動をとります。 分類上では、『スズキ目』の『サバ亜目』に属し、『サバ亜目』の中には、タチウオ科の他、仲間にサバ科、カマス科がいます。カマスと仲間と言うのは想像つきますが、サバの仲間とは思えませんね! ところで、『タチウオ』は、『太刀魚』と書きますが、頭を上にし、尾を下にする『立ち姿』で休息・睡眠をとることから、『立ち魚』と思っている方、おりませんか?(確かに休息時はそうです。) また、泳ぐ姿も『立ち姿』と思っている方、おりませんか? 少なくても松とうちゃんが海中で『タチウオ』の泳ぐ姿を見た時は、水平に普通のお魚のように泳いでいました。 やはり『タチウオ』はその体の形から『太刀魚』で、『立ち魚』ではないと思います。ちなみに『タチウオ』は英語で a cutlass fish→短剣魚 a scabbard fish →さや魚 と呼びます。英語圏でも、『太刀魚』に軍配が上がりそうです。 普段、身近に食卓やレストランに並ぶお魚もその生態や形に目を向けると不思議なことが多く、お魚の観察やお勉強はとっても楽しいです。皆さんはいかがですか? -お生物講座037- |