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    毒をもつ生物シリーズ1(ヌノサラシ)

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    今回から毒をもつお魚や他の海洋生物についてシリーズでお届けします。

    毒をもつことでそのほとんどが、食用に適さないわけですが、美味いもの通の松とうちゃんとしては、ちょっと辛いテーマが続きます。

    お魚たちが、体の表面や内部に毒をもって敵から身を守り、必死に生き続けている姿をお伝えしたいと思います。

    シリーズ第1回目は、『ヌノサラシ』です。

    皆さん、『ヌノサラシ』というお魚ご存知ですか?『ヌノサラシ』は、体長30cmくらいの黒の体表に黄色のはっきりとした縦縞(たてじま)模様のお魚で、スズキ・ハタ類の『ヌノサラシ科』に属します。南日本からインド洋まで温帯~熱帯域に分布します。

    沖縄などの海でも浅場の岩礁域でよく見かけると思います。

    『ヌノサラシ』は、グラミスチンという皮ふ毒をもっていますが、グラミスチンは表皮中の特殊な粘液細胞と真皮中の粘液腺の中に含まれております。筋肉中や内臓には含まれていません。

    狭いところに入れたり、触ったりなどのストレスを与えると体表から大量の粘液と共にこの毒素グラミスチンを分泌します。
    毒には強い苦みがあり、魚毒性と溶血性があります。

    海水を入れた水槽で『ヌノサラシ』を飼うと他のお魚を殺してしまうので注意が必要です。毒を分泌し、海水を石鹸水のように泡立てますので英語では、『ヌノサラシ』の仲間を『ソープフィッシュ』と呼んでいるそうです。石鹸魚?面白いですね!

    薬品で白くした布(ヌノ)を『さらし』とか、白くする薬品を『さらし粉』といいますが、白く泡立てるから『ヌノサラシ?』とこじつけるのは、松とうちゃんだけですかね!

    『ヌノサラシ』の仲間に『ルリハタ』、『アゴハタ』、『キハッソク』などがあります。それぞれ持つ毒の科学的性質は異なるようですが、いずれも敵から身を守る上では極めて有効です。

    黒と黄色の縦縞という派手な模様も他のお魚に『毒のある魚』として学習させるための知恵だと思います。

    『ヌノサラシ』同士は共食いすることも知られていますが、『ヌノサラシ』にとっては自らが持つ毒と同じグラミスチンを食べても支障がないのです。他種のお魚は敵とならないが、同種は敵になるということでしょうか?なんとも非情なお話です。

    それでも、ダイバーたちのフィッシュウォッチングの対象になったり、鑑賞海水魚として飼われたりするくらいで人間の食用にされないだけましですかね?いや、鑑賞用として水槽に飼われる方が、残酷な気がします。

    皆さんは、どうお思いになりますか?
    -お生物講座051-