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    母になるとひょう変するゴマモンガラ!

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    今回は、『ゴマモンガラ』をお話します。

    『ゴマモンガラ』は、フグ目、モンガラカワハギ科に属するお魚です。
    モンガラカワハギ科とその仲間カワハギ科のお魚は、腹ビレが1対あるふつうのお魚と異なり、腹ビレが単一です。魚類はふつう三角形をした腰骨をもって底辺の端に腹ビレがつながり1対ですが、モンガラカワハギ科の仲間は、棒状の腰骨で腹ビレが一つしかつかないのです。

    『ゴマモンガラ』の多くは体長30~40cmですが、大きいもので60cmに達するものもいます。観賞用に飼われていることもあるようですが、上あごの左右にある黒いヒゲ状の模様は口ヒゲのように見え、大きく長い顔は、いかにも手入れをしていない無精なおじさんの顔のようでこっけいです。

    『ゴマモンガラ』は、別名『ツマグロモンガラ』とも呼ばれますが、その和名の由来は、幼魚のとき、体表に胡麻のような黒い点々があることから『ゴマモンガラ』、そして成魚になると各ヒレの縁(ふち)に黒い帯びがあることから『ツマグロモンガラ』と呼ばれています。
    なぜツマグロかといいますと、和服で縁の部分をツマと呼び、黒いツマですのでツマグロとなったようです。

    ちなみにモンガラは、模様の柄『紋柄(もんがら)』をイメージする方もいると思いますが、正解は『紋殻(もんから)』です。

    『ゴマモンガラ』は、サンゴ礁に生息し、海底やサンゴの間の小動物を食べています。ときには、サンゴをかみ砕きその隙間の小動物を食べることもありますが、『ガリガリ』とかみ砕く音でベラなどが集まってきます。
    海底の餌は、カワハギ科のお魚同様水を強く吹きかけ砂や小石をどかして見つけ食べています。

    人相のわりには、臆病で警戒心の強い『ゴマモンガラ』は、ダイバーが近づくと離れてしまいますが、夏の産卵期になると、ひょう変し凶暴とも言えるようになります。

    比較的深めのサンゴ礁や岩の上に産卵床を作り、卵を産みつけ雌が卵を守っていますが、そのような時期に近づくと、小さな口の歯をむき出しにしたような感じで追いかけてきます。

    サンゴをもかみ砕く強い歯とあごですから、咬まれたら大変です!しつこく追いかけてくることもあります。

    松とうちゃんがパラオの海水深20mくらいで潜っているとき『ゴマモンガラ』の存在を知らず、不用意に近づいたとき彼女が私めがけて突進してきました。あわてて逃げましたが、かなりしつこく追いかけてくるので仕方なく浅場まで移動したことがあります。
    すごい形相で追いかけてくるんですよ!咬まれたら肉までそぎおとされそうです。
    恐かったな~!(*^_^*)

    『ゴマモンガラ』を見かけたとき、なにくわぬ顔でスーと離れていくときは大丈夫です。海底近くで縄張りを守っている感じでちょっとでもダイバーに向かってくるように思えたら浅場に戻ることです。卵を守っているほとんどの『ゴマモンガラ』は、海底を離れることはありません!でもしつこく近づくとわかりませんからご注意を!

    ふだん警戒心が強く臆病な『ゴマモンガラ』の母も子孫繁栄のためには、ひょう変し強くなるのですね!

    人間のおしとやかで遠慮深い女性も子供が産まれると『母つよし!』となりますから一緒ですかね~!

    -お生物講座061-