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バクテリアで光るマツカサウオ?
皆さん!『マツカサウオ』をご存知でしょうか?
ダイバーの方でしたら馴染みのある名前ではないかと思います。 『マツカサウオ』は『キンメダイ目』に属するお魚で沿岸の岩礁域に生息しています。オーバーハングのところや、大きな岩の隙間など比較的日差しの当たらない暗影のところにいることが多いようです。 大きいものでは全長15cmくらいに達しますが、体は側偏しただ円形で体色はほとんど黄色です。やや大きめな堅い鱗(うろこ)が松笠状に覆うところからその名がついています。 各うろこは、黒色でふちどられており編み目模様のはっきりしたデザインで絵を描いて特徴を表すのは容易ですね。 背ビレにも腹ビレにもかなり強い棘(とげ)がありますが、かなり臆病なお魚のようで、近づくとすぐ岩のすき間などに入って隠れてしまいます。 『マツカサウオ』の不思議な生態は、下あごに暗がりで光る発光器を持つことです。発光はあまり強くないので、なかなか確認するのは難しいと思いますが、充分に暗いところで良くみると青白く光るのがわかります。 『マツカサウオ』の発光器は発光細菌(バクテリア)の共生によって発光し、黒の色素斑の収縮により点滅させていると言われています。 夜間に発光物質をもつ小動物を食べて発光器を機能させている考え方もあるようですが、実際のところは良く分かっていないようです。 お魚の光を出す仕組みはキンメモドキのように発光エビやウミホタルなどを食べ、その小動物が持っている発光物質を使って光るものと、光を出すバクテリアを体内に飼って(共生して)光るもの、またハダカイワシなどお魚自身が自力で光るものの3種類があります。 それぞれのお魚で詳しくは分かっていませんが、『マツカサウオ』は、発光バクテリアの共生ということですね。 そう言えば、松とうちゃんは以前、ある製薬会社に勤めていたころ、会社で化学発光物質の反応を使った臨床診断薬の開発に関わったことがあります。その時の反応系と比べてみるのは興味深いです。どうもお魚たちの光る仕組みは、『ルシフェリン』という物質と『ルシフェラーゼ』という物質を一緒にすると反応して光を出すもののようです。 陸の生物で言えばホタルですね! なぜ『マツカサウオ』が下あごを光らせているのかが分かりません。まるで金色のよろいをまとっているかのようなごつい顔ですが、更に光を出して敵を威嚇しているのか?暗がりで小さな光で餌を探しているのか?それとも、オス・メスの求愛に使うシグナルなのか?どちらでしょうね? いろいろ考えながら『マツカサウオ』を観察してみるのも、楽しいかも知れません!皆さんも今度注意深く見て下さい。 松とうちゃんは『マツカサウオ』を食べたことありませんが、聞くところによるとかなり美味とのことです!地方では、『よろいうお』、『よろいふぐ』と呼ばれカマボコの材料にしているようです。東シナ海では群れでまとまって捕獲され、やはり練り製品の材料になるようです。いつも伊豆の海で1匹でいる『マツカサウオ』を見慣れているせいか、群れでいる様子を想像しただけで圧倒されそうです。 なぜ光を出すのかその役割は分かりませんが海中の生物には不思議な生態を持つものが多いですね! -お生物講座063- |