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    ブダイさん!産後はパパですか~?

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    関東から南日本、世界の温帯~熱帯域まで広く分布している『ブダイ』の仲間は、その生態が興味深いことばかりです。

    『ブダイ』は、小さな歯が集まってオーム(Parrotパロット)のくちばしのような形をしていることから英語では『Parrot fish パロットフィシュ』と呼ばれています。ちなみに漢字では『武鯛』とか『不鯛』と書きます。

    確かに口の感じはオームに似ていますね!

    そのくちばしを使ってイシサンゴをかじりとり、骨格の表面についた藻類を食べています。関東の海でも岩や石についた藻類を食べている姿をよく見かけます。

    『ブダイ』の歯は一生のあいだ伸び続けますので、水槽などで飼い、かじるものがないと、口の形が変わってしまうというから面白いですね!まるで猫の爪とぎみたいなもんです!

    『ブダイ』は、光の届く浅い海に生息し、さまざまな色で飾るスズメダイ類、チョウチョウウオ類、ベラ類とともに、サンゴ礁の主役とも言えます。

    サンゴ礁の海底には、サンゴ砂と言われるものが敷きつめられている場合がありますが、これは『ブダイ』が死んだサンゴをかじってエサをとり、イシサンゴの骨格が消化されないまま排泄され、海中にばらまかれたものです!

    あの白いサンゴ砂は、なんと『ブダイ』が作ってくれるのです!

    体色は青色、緑色、紫橙色とさまざまでかなりカラフルですが、世界各地で食用として重要な存在です。

    沖縄の居酒屋でカブト煮を注文したところ『アオブダイ』のカブト煮にでてきて驚きながら食べたことがありますが、表面の鮮やかな色といい、特色ある顔といい、食べるにはちょっと勇気がいりました。顔付近の魚肉には、コラーゲンたっぷりといった感じのゼラチン質で、きっとお肌にはとっても良い食べ物ではなかったでしょうか?

    台湾では、『アオブダイ』にネギをたっぷりのせて蒸す料理が、海鮮レストランで良く見かけます。『アオブダイ』は高級魚です!

    冬に水温の下がる佐渡などの日本沿岸には、『コブダイ』が普通にみられ、食用にされているようです。海中でみると弁慶の顔のような、(弁慶はみたことありませんが)そんなお魚を、とても食べる気にはなれません。

    『ブダイ科』は、同じ『ベラ亜目』の『ベラ科』と似たような生態ですが、ベラのように寝るときに砂に潜らず、種によっては夜になると、自分の口から透明で厚い粘膜を出し、体を覆う、まるでカプセル状の寝袋を作ってその中で寝ます。松とうちゃんが初めてその寝姿を見たときはとても不思議でした。

    『ブダイ』で特に興味深いのは、オス・メスによる体色の違いです。成長によっても体色は変わり、親とは似ても似つかない体色の幼魚が、同じサンゴ礁に生息しています。『ブダイ』は、『ベラ』とともに、他のお魚では例を見ないほどオス・メスの体色が異なっています。

    更に興味深いのが、『ブダイの性転換』です。

    小さいときはメスで卵巣をもち、産卵をします。そしてある程度大きくなったころ卵巣は退化し生殖腺は精巣へと変わります。同じ個体が一生の間にメスとオスの両方を経験するのです。なんとも不思議な話です。

    メスから性転換したオスを『二次オス』といい、性転換しないで最初からオスのものもいます。このオスを『一次オス』といいます。

    『一次オス』は『二次オス』よりはるかに大きい精巣をもっているようです。この理由もかなり興味深いです。

    普通、オスは縄張りをもち、産卵時期になるとオス同士は威嚇しあい、メスを自分の縄張りに引き寄せます。メスが求愛に応じると、オス・メスが求愛ダンスをし、放卵・放精がおこり、『ブダイ』の卵は浮遊卵ですので海面に浮かびます。これは『二次オス』が行う『ペア産卵』といいます。『ペア産卵』を終えたオスは、次のメスに求愛をはじめます。なんともご苦労なことです!

    『一次オス』の場合はこの『ペア産卵』を行わず、オスが集団でメスを追尾し、産卵するとオスは一団となっていっせいに放精します。これを『グループ産卵』といいます。『グループ産卵』が行われると海面が一瞬真っ白くなるそうです。

    この『グループ産卵』の場合、卵に受精させ自分の子孫を残す確率を高めるため(オス同士の競争で)『一次オス』の精巣は大きくなったと考えられています。

    数え切れないほどの卵の産卵と、ふ化後、父親として面倒をみるわけでもないのだから、自分の子孫繁栄もあったものではない、と思うのですが、精巣を大きくして他のオスとの競争に勝つ精神は、どこから生まれるのでしょう?自然の理?それとも神の業?

    ちょっと考えてしまう松とうちゃんです!(*^_^*)

    『ブダイ』には失礼ですが、とても可愛いとは言えないこのお魚、不思議な生態は天下一品ではないでしょうか?

    -お生物講座066-