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巳年のウミヘビはルアーの達人?
『ウミヘビ』をテーマにお話しましょう!
『ウミヘビ』をお話する前に、『巳年の巳』の意味について考えてみたいのですが、皆さんご存知ですか? 干支は、時間、方角、月を現す言葉ですね!『巳の刻』と言えば午前10時ごろを、『巳の方向』と言えば南南東の方向、つまり150度方向を、また、『巳の月』は4月の異称でもあります。こんなふうに、昔の人は干支に時間や方角を割り振ったのですね! 『海蛇座』という南天の星座もあります。『蟹座』の南から『乙女座』の南まで長く伸び、ギリシャ神話ではヘラクレスに退治された九つの頭をもつ海蛇に見立てた星座です。陸の蛇に見立てていないところが面白いです。 『ウミヘビ』は『ウナギ目』、『ウミヘビ科』に属する海魚の総称で、インド洋、太平洋など熱帯海域に多く分布しますが、関東の海でもよく見られる種があります。ダイナンウミヘビやホタテウミヘビなどがそうです。 『ウミヘビ』は、円筒状の体で細長く、上あごの縁のあたりに鼻孔があるのが特徴で、砂底から頭だけを出しているものはよく観察できると思います。 『ウミヘビ科』は、更に『ウミヘビ亜科』と『ニンギョウアナゴ亜科』に大きく別れ、その特徴も若干異なります。 『ウミヘビ亜科』のウミヘビは、尾ビレがなく堅く強い尾で砂や泥を掘って砂泥底に入っていきます。薄い布程度のものでしたら簡単に尾で破ってすすんでいくというから、その尾の力に驚きです! 大きいもので体長2mになるというダイナンウミヘビもいますが、ほとんどは1m前後のものが多いと思います。 『ニンギョウアナゴ亜科』は、体色が一様に褐色で体長も30cmと小型のものが多いのですが、中には面白い生態のグループがいます。 南太平洋のサモアに住む種のウミヘビ(Glenoglossa wassi )は、アンコウ類のような擬似餌(ぎじえ)を持っているのです。しかも背ビレが発達したものではなく、舌の骨が飛び出し、その先端に甲殻類に似せた肉質の擬似餌が付いているのです。しかも口のまわりには海藻に似たひだがあり、小魚を誘うのは容易です。読者の皆さん、ご自分の舌を出しながらちょっと想像してみて下さい。 砂に潜って、頭だけを出し、舌先の擬似餌をまるでルアーの達人のように操り小魚を口の中へと誘い込むのですから凄いです! 陸上の蛇や海生のウミヘビは、乾燥して薬膳や精力剤などに利用している場合がありますが、海魚の『ウミヘビ』は、水産資源としての利用価値はないようです。それでも、水中をくねくねと泳ぐ姿や、砂底から頭を出して餌が近づくのを待っている姿を観察するだけでも我々ダイバーに興味をひかせてくれます。 (*^_^*) -お生物講座070- |